トップの気概

2017.12.25

【 生産性向上の土壌について 】

 

              

「労働生産性の向上」,国力増強の源泉として,企業の稼ぐ力として,
政府も企業も一体で腐心して取り組んでいる課題である。確かに,企業の生産性の向上は
企業の稼ぐ力を生み出し,企業の稼ぎはいろんな形で国力として姿を変える。
少子と高齢化が同時に進む我が国としてとしては,看過できない重要かつ重大な課題である
ことに間違いはない。

企業のあるいはこの国のトップ,リーダーとして,取り組むべき課題を明確にし,
着実に歩進める方針を打ち出す姿勢には賛同できるし,協力や努力は惜しまない気概である。

ただ,取り組む一員として足下を観たとき,向上を現場にのみ求めるだけで良いのか,
という疑問がふと湧いてくるのも現実であることを否めない。
求めて結果を出せるだけの用意はされているのか,ただ強いられるだけでその後の保障は
されているのかを考えたとき,まったく不安がないとは言い切れない。

見方を変え,誤解をおそれずに言えば,号令はだれでも発することができるのである,
問題はその号令をどうやって実現化したうえで,維持,継続していくのか,
またその土壌を創り出していくのかが大きなポイントとなる。
実際の稼ぎを現場の役割として求めるのであれば,稼げる市場(マーケット)を創り出すのは
リーダーやトップの役割であることを忘れてはいけない。
それなくして現場に求めるだけでは,求められた方は溜まったものではない。

この国を憂い,自分の所属する企業を憂う気持ちは誰しも同じであり,
同時に成長や躍進は誰しも望むところである。一人一人の所得が増え,
それなりの課税があったとしても,それに見合う社会保障等を受けられるのであれば,
文句の言いようはないが,求めるだけで与えられないというのは何とも理不尽な話しである。

静思熟考すれば,生産性の向上は,企業にも我が国とっても見過ごせないことは誰しもが
理解できることであると思うが,それに伴う相応の果実が必要な事は熟考せずとも
誰しも共通して理解,賛同いただけることであると思う。
むしろ,生産性の向上よりも理解,賛同を得られることは言わずもがなである。

トップやリーダーの号令や将来を見据えた方向性の打ち出しは,重要な役割ではあるけれども,
その市場を創造,創出する判断や頑張りも忘れてはいけないことを再認識していただき,
号令や方向性を打ち出してほしいと願うものである。

2017年 師走

自宅書斎にて。